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新産業の担い手として - 日本経済新聞

2013年の日銀の金融緩和から官民両面でのリスクマネー供給が進み、エクイティによる資金調達環境は格段に整備されてきた。ICT技術の普及であらゆる産業でデジタル化が進み、新たなシェアリングビジネスが登場している。AIや再生医療などの技術進化もあり、多くのスタートアップが生まれている。

1989年住友銀行(現三井住友銀行)入行。ベンチャーエンタープライズセンター主任研究員を務めるなどベンチャー支援に従事。SMBCコンサルティング企画部長などを経て、2017年より現職。

1989年住友銀行(現三井住友銀行)入行。ベンチャーエンタープライズセンター主任研究員を務めるなどベンチャー支援に従事。SMBCコンサルティング企画部長などを経て、2017年より現職。

大企業や自治体も、こうしたスタートアップとのオープンイノベーションに積極的に取り組むようになった。官民を問わず、スタートアップの支援を通じたイノベーション創出への期待値は高まっている。

こうした状況を「第4次ベンチャーブーム」と捉える声もある。日本では過去3回のブームがあったとされる。第1次は1970年。素材型産業から加工組み立て型産業への転換期にあたり、ハイテクベンチャーが登場した時期だ。

第2次ブームは82年で、2次産業から3次産業への転換期だった。第3次ブームは90年代半ばから2006年ごろまでの時期だ。政府による各種ベンチャー支援策もあり、主にウェブ関連や遺伝子関連などの技術がブームをけん引し、多くの企業が生まれた。三省堂大辞林によるとブームとは「急激に盛んになること、にわかな需要で価格が上がること」とある。重要なのはベンチャー企業の存在を経済や企業価値への「期待値」だけで捉えず、時間軸の中で産業構造の転換、新たなビジネスを生み出す「担い手」と捉えることだ。

日本でも米国には及ばないがアントレプレナーシップ(起業家精神)が根付き、リスクを恐れず起業に挑戦する優秀な若い人たちが着実に増えた。そんなスタートアップの立ち上げと成長を支援する仕組みも整ってきている。資金面での支援に加え、インキュベーターやコワーキング・スペースなども拡充された。当行グループも15年からベンチャーピッチコンテスト「未来」を開催し、17年にはオープンイノベーション拠点を渋谷に開設している。

こうした動きを一過性の現象で終わらせないためにベンチャーを新産業創出の担い手として捉え、一定の成長を果たした後も相応の時間軸をもってヒト・モノ・カネのあらゆる面で関わりを続けることが必要だ。シニフィアン共同代表の朝倉祐介氏は「多くのスタートアップは上場後、成長に伴う様々な課題に直面し、新産業創出のボトルネックとなっている」と述べている。全く同感である。

過去それぞれの時期で産業の構造転換が進むとともに、新たなビジネスの基礎が生まれ育ってきたことを忘れてはならない。われわれ商業銀行としてもスタートアップの創出支援に加え、成長を続ける企業に本来の役割である安定した資金供給、多くの取引先とのビジネスマッチングなどを通じ、新産業の創造とイノベーション創出につなげる動きを加速していきたい。

[日経産業新聞2020年1月22日付]

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