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「パラサイト」ポン・ジュノとソン・ガンホ再来日、韓国映画産業の健康さとは(写真19枚) - ナタリー

パラサイト 半地下の家族」の監督ポン・ジュノと主演のソン・ガンホが、本日2月23日に東京・日本記者クラブで来日記者会見を行った。

第92回アカデミー賞で、非英語映画で初となる作品賞など最多4冠に輝いた「パラサイト 半地下の家族」。カンヌ国際映画祭パルムドールも受賞しており、アカデミー賞作品賞とのダブル受賞は64年ぶりの快挙となる。日本における本作の動員は220万人、興行収入は30億円を突破。2005年公開の「私の頭の中の消しゴム」を抜き、日本における韓国映画の歴代興収1位の作品となった。2人が本作のために来日するのは、2019年12月以来2度目となる。

ポン・ジュノはまず最初の挨拶で「受賞は喜ばしいことですが、最初から計画していたことではありません。賞を目標に映画を作っているわけではないので」とコメント。2019年10月のアメリカ公開を振り返り「アカデミー賞ノミネート発表の前でしたが、アメリカの外国語映画でベスト10の(興行)成績に入りました。観客が熱い反応をしてくれたのが、オスカーでの結果につながったのだと思います」と言い、日本での反響についても「劇場で映画を観て、熱く反応してくださった日本の皆様にも感謝をお伝えしたい」と述べた。

続いて「ソン・ガンホです」と日本語で自己紹介したソン・ガンホ。日本で多くの韓国映画が紹介されていた2000年代初頭を回想し「その後は韓国と日本の映画による交流が、残念なことに少なくなってしまったと思います。この映画をきっかけに、韓国の素晴らしい監督たちの作品、そして日本の優れた芸術家の皆さんの活動が、だんだんと多くの方の関心を引くようになってきたのでは。近い国同士ですので、お互いの文化に共感が持てればいいと思う」と文化交流の活発化を望んだ。

半地下の住宅で暮らす極貧一家と、裕福な一家の人生が交錯していくさまを描いた本作。ヒットの理由を聞かれたポン・ジュノは、映画祭などで世界を回った経験から「貧富の格差を描いているから、という声も多く聞いたんですが、僕はそれは少し違うと思う。それ以上に、世界の人々に直接訴えかけた部分は、予測を裏切るストーリー展開なんです。カンヌでは後半の展開についてネタバレしないようにとお願いをしましたが、特に『その後半が新鮮だった』という声を多く耳にしました」と考えを明かす。さらに「あとは俳優の魅力が大きかった。彼らの表現する感情が万国共通語として通じたのでは」と付け加えた。

ポン・ジュノとは4度目のタッグとなったソン・ガンホは、「私はポン監督の“ねっとりしたところ”がとてもいいと思う」と笑いを起こす。また「監督とはこの20年間いろいろな仕事をしてきましたが、まさに祝福であり苦痛です。苦痛とは、監督が芸術家として持っている野心を、私が俳優として達成するためのものです」と話した。

映画で描かれる格差に関して、ポン・ジュノは「二極化の事実を暴きたかったというより、未来に対する恐れがあったんです。私には息子が1人いますが、未来の社会が二極化を克服しうるのか、それは容易いことではないと思えたんです」「でも私の性格的に、そういったテーマを真顔で相手に伝えるのは得意ではありません。映画の中でも声高にメッセージを主張するのではなく、シネマティックな興奮の中で面白く伝えていきたいと思いました」と狙いを明かす。また劇中で鍵となる“臭い”に関しては「“臭い”はこのストーリーにマッチしています。この映画は貧富の格差以前に、人間同士の礼儀を表現しているんです。礼儀が失われたときに、どんなことが起こるのかを描いています」と語った。

韓国と日本の、政府による映画製作への支援の違いに関する話題では、「日本の映画界がどのように映っているか?」という質問も上がった。ポン・ジュノは「日本には、個人的に仲良くさせていただいている監督がたくさんいます。そして日本には、歴史的な名監督がいる国だという第一印象を持っています」と答え、今村昌平、黒沢清、阪本順治、是枝裕和の名を挙げる。「韓国の映画産業における国家的な支援は、インディペンデント映画やドキュメンタリー映画に焦点を当てています。私やソン・ガンホさんが関わる映画には主に民間企業が出資しているんです。これはある意味、韓国映画産業が健康な状態にあると言えるかもしれません。日本ではそういった支援はマンガやアニメーションに向けられるのかもしれませんが、個人的には日本の映画監督の持っている世界に興奮を覚えるんです」と率直に話した。

続いて、カンヌとアカデミー賞の受賞時の違いを聞かれたソン・ガンホは「カンヌでの受賞は、初めての賞だったこともあって、あまりのうれしさに監督の胸元を強く叩いてしまい、骨にヒビが入ってしまったと聞きました。だからアカデミー賞のときはそれを避けて、できるだけ監督の首元をつかむとか、背中や頬を叩くようにしました」と、ポン・ジュノの胸を触りながら告白して笑いを誘った。

さらに会見は、新型コロナウイルス感染症に関する話題にまで及ぶ。ウイルスの恐怖も描かれる「グエムル 漢江の怪物」を手がけたポン・ジュノは「実際のウイルス以前に、人間の心理が作り出す不安や恐怖のほうが大きいのでは。それに巻き込まれてしまうと、災害を克服するのが難しくなってしまう。『グエムル』と違って、現実にはウイルスが存在しています。でもそれに過度に反応したり、国家的・人種的な偏見を加えてしまうと、より恐ろしいことが起きる。もうじき我々はこの問題を乗り越えられると、希望的に捉えています」と答えた。

賞や興行収入記録を目的に映画を作っているわけではないという2人。では製作時は何を目標にしているのかと問われ、ソン・ガンホは「映画を作るにあたって、必ずしも何か大きなテーマがなくてはいけない、とは思いません。まず自分たちが伝えたい話をどのように表現していくのか、ということを俳優として常に探求しています」と回答する。一方ポン・ジュノは「目標は、あることはあるんですけど、恥ずかしくて……。でも、告白しないといけない状況ですよね……」と、手元のコップをくるくると回して恥ずかしがる。そして意を決すると「自分の作品がクラシック映画になってほしい、という“妄想”を抱いています。それはつまり、私の映画が時間や歳月を乗り越えていくということ。キム・ギヨン監督の『下女』、黒澤明監督の『七人の侍』、アルフレッド・ヒッチコック監督の『めまい』のような作品を作りたい。これはもう、ほぼ妄想ですけど……。映画を準備するときは、ストーリーと一対一で向き合うことを心がけています。賞を獲りたい、興行的に成功したいという不純物が混ざることなく、透明な状況で向き合うんです」と真摯に話した。

「パラサイト 半地下の家族」は、現在も全国で上映中。

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