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兵庫・尼崎のユニチカ記念館、解体検討 明治の紡績産業遺産 市の支援望めず - 毎日新聞 - 毎日新聞

解体が検討されているユニチカ記念館=兵庫県尼崎市東本町1で2020年8月13日午後0時17分、中村清雅撮影

 国の近代化産業遺産に選定され、兵庫県尼崎市内に現存する最古の洋風建築「ユニチカ記念館」(同市東本町1)について、所有する繊維大手のユニチカが解体する方向で検討していることが分かった。建物を維持するための耐震工事に多額の費用がかかることが理由。明治日本の貴重な産業遺産を失うことには識者から惜しむ声が上がるが、尼崎市も支援に難色を示しており、現状で解体回避は難しそうだ。【中村清雅】

 ユニチカ記念館は、尼崎の工業化の礎を築いたユニチカの前身「尼崎紡績」(1889年設立)の本社事務所として、1900(明治33)年に建てられた。大阪市との市境近くの国道43号線沿いにあり、重厚な赤れんが造りの2階建てが目を引く。尼崎紡績は1918年に大日本紡績と改称し、尼崎に巨大な紡績工場群を建設したが、45年の米軍による空襲でほぼ焼失。奇跡的に被害を免れたユニチカ記念館は、戦前の尼崎と紡績産業のつながりを今に伝える数少ない遺産で、2007年には経済産業省の「近代化産業遺産」に選定された。

1900(明治33)年当時のユニチカ記念館の裏側を背景に、尼崎紡績の役員らを撮影した記念写真=尼崎市教委提供

 解体の検討はユニチカの創業130年だった19年に浮上した。同社が記念事業の一環としてユニチカ記念館のリニューアルを計画し、耐震診断を実施したところ、建物の老朽化が想定以上に進んでいることが判明。それまで週1回実施していた一般公開を急きょ中止して本格的な調査をした結果、大規模な耐震化工事が必要で4億~5億円の費用がかかることが見込まれた。

 ユニチカは主力の繊維事業の不振などで14年に債務超過の危機に陥り、主力取引銀行などから375億円の金融支援を受けている。同社人事総務部によると、社内の構造改革を進めてきたが、新型コロナウイルスの影響で経営の先行きは不透明感を増しており、「業務と直接関係のないところに金をかけるべきではない」という意見が強いという。これまで登記上の本店所在地を記念館に置いていたが、6月の株主総会で大阪本社(大阪市)への変更を決定。同時に尼崎市に解体する意向を伝えた。ただ社内には「金の問題ではない」という声もあり、解体は取締役会で決定されていない。記念館の館内に保存されている歴史的資料の新たな行き先も未定という。

 一方、尼崎市も財政事情は厳しい。旧尼崎警察署(1926年建設)など既に所有している歴史的建築物の耐震化工事にも手をつけておらず、記念館を買い取って耐震化するなどの支援策は「財政上困難で100%ない」(市幹部)と断言している。

現存少なく貴重

 国内の産業遺産に詳しい四方田雅史・静岡文化芸術大教授(産業史)の話

 明治時代以降、日本の近代化を支えた紡績業は、原料となる綿花を海外から輸入し、港から近い臨海部の工場で加工する都市型産業だった。そのため戦争時の空襲で燃えたり、戦後に残っても再開発などのため現存している建物が少ない。特に明治時代の紡績業の遺産はほとんど残っておらず、ユニチカ記念館は非常に貴重。解体は寂しい限りだ。

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August 23, 2020 at 08:29AM
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