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レジ袋有料化、袋購入もマイバッグも嫌!ユニークな抵抗をする人たちの生き様(ダイヤモンド・オンライン) - Yahoo!ニュース

 賛否両論のレジ袋有料化。この原稿は、高潔な思想に基づくレジ袋有料化への抵抗を記したものではない。ごくごく個人的な事情で、特に誰にも迷惑をかけずに、レジ袋有料化への抵抗を試みている人たちの、愚かしくもほほ笑ましい、あるいはほほ笑ましくも愚かしい記録である。(フリーライター 武藤弘樹) ● ついに始まったレジ袋有料化 個人的事情で流れにあらがう人たち  7月1日からレジ袋の有料化が義務づけられた。それまで無料だったものが有料になったのだから市井の不満は大きく、「エコのため」という大義名分もあまり強い説得力を持っていない。この大義名分に共感するよりかは、「法律化されたのだから仕方ない」と諦めて現状を受け入れようとしている人が多い印象である。レジ袋を提供する店舗側も変更に伴って種々の苦労を背負いこんでいるようで、しばらくはこうした混乱が続きそうである。  賛否両論の中で始まったレジ袋有料化だが、政府主導で定められた方向性だからよほどのことがない限りは覆るまい。世間もそれを理解しているのでブーブー言っているより楽に過ごせるための改善策を編み出したりしながら、甘んじて従っているわけである。  しかし、この大きな流れに必死にあらがう個人が、一部に存在する。「レジ袋は有料」、ひいては「お買い物にはマイバッグ」といった新しい価値観を、自らの存在をかけて否定しようとする人たちである。  「コロナで大変な時に感染リスクを上げる可能性があるマイバッグ奨励なんて、政府はどうかしている。レジ袋有料化、絶対反対!」……なんて高潔な思想ではなく、極めて個人的な事情に基づいた抵抗をしている。  「1枚数円の有料レジ袋を求めるか求めないか」というささいなことではあるが、その選択には彼らの生きざまが表明されているのである。そうした生きざまを追っていきたい。

● 表出する女子力を抹消したい レジ袋に自己表現を求める女性  Aさん(33歳女性)は、やり手の勤め人で、身だしなみにも隙がない。値踏みしがいのありそうなスーツと小物で身を固め、ロングヘアをなびかせてオフィス街をさっそうと歩く。  さぞや女子力も高そうと思わせるAさんだが、“女子力”なるパラメーターの存在を嫌っているようである。自分以外の女性の女子力が高いことに関しては素直に尊敬するが、自分が例えばそこそこ料理ができるとしてもそれを“女子力”というくくりで論じられるのが嫌だそうである。 「女性社会には、しっとりした感じがあると私は考えていて、自分の性格に陰湿な部分があるのも自覚していて、それが『女性っぽい』と感じ、なるべく直したい。理想では、もっとサバサバした性格でありたいと願っている」(Aさん)  昔から世間では、性格の一部に見られる、ある種陰湿な部分を評して「女々しい」などと言われてきた。ただ、陰湿な部分は男性も持ち合わせており、なおかつ現代では性別は「男」と「女」できっぱり分かれるものではないとも言われているので、性格を言葉で表現する時の「女性っぽい」や「女々しい」は現代にそぐわない感も出てきている。「女性っぽい」という言葉の使いどころは賛否あろうが、ここではひとまずAさんが自分についてこの言葉を用いているだけなので、その点お含みおき願いたい。  さて、Aさんのこのような逡巡が、レジ袋有料化と何の関係があるのかと思われた向きも多いだろう。話はマイバッグに移る。  レジ袋有料化に伴って、マイバッグの利用が広がった。さまざまな店でマイバッグが積極的に売られるようになったし、企業がコンビニとコラボして「ある条件を満たして買い物をすればオリジナルマイバッグ差し上げます」といったキャンペーンも行われていて、筆者もひとつゲットしたが、デザインが良くて気に入っている。マイバッグをファッションとして楽しもうとする潮流は、レジ袋有料化に際して生まれた人類のポジティブな知恵、かつ歓迎すべきもののひとつである。  しかしAさんはこれが嫌らしい。正確には、その流れ自体が嫌なのではなく、自分がマイバッグを持つのが嫌なのである。 「これも女子力に関係する事柄。マイバッグを持っていると女子力が高いというか、持っていないと低い気がしている。マイバッグを持つということは『小銭も節約しつつファッションも楽しんでいる』ということ。つまり安定した家庭を運営していく女性像にもつながっている…気がする」(Aさん)  Aさんが「気がする」と連呼している通り、あくまで彼女個人の感想である点もお含みおき願いたい。  しかし、言わんとしていることはわからないでもない。マイバッグの有無ひとつで他人の人格をそこまで突っ込んで断定する人は少なかろうが、Aさんの言う通り「節約に最低限の関心があって、レジ袋有料化という環境の変化にも前向きに適応しようとしている」くらいのプロファイリングは可能であり、このプロファイリング結果は――かなりの力技ではあるが――良妻賢母の像につなげようと思えばつなげられるのである。  だからAさんは、マイバッグを決して持とうとしない。 「女子力をうかがわせるものは持ち歩けない。毎回数円のコストがかかろうが、必ずレジ袋を買い求めている」(Aさん)  そしてステージは次に移行して、最近ではむしろレジ袋を持つことが快感になってきているようである。 「色気がなく、品なくガサガサ音の鳴るレジ袋は女子力との決別を示しているようで、もはや誇らしい」(Aさん)  2カ月前まではレジ袋を持ち歩くことにここまでの意味を持たせることはできなかった。環境を自己表現に利用するAさんのしたたかさがうかがえる。

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August 22, 2020 at 05:49AM
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