
パリには世界の美術品が集積しています。ルーヴル美術館をはじめオルセー美術館、国立近代美術館など見逃せないアートスポットが満載です。それらの主要美術館や博物館、観光スポットをまとめて利用できてしまうのがパリ・ミュージアム・パスです。
パリ・ミュージアム・パスとは

パリ・ミュージアム・パスは、パリ市内と郊外にある観光スポットに入れる定額フリーパスです。パリ市内と郊外の約50ヵ所に入場できます。
対象となるスポットはルーヴル美術館、オルセー美術館、エトワール凱旋門、国立近代美術館(ポンピドゥーセンター)、ヴェルサイユ宮殿と行ったパリ市内および近郊のマストスポットに加えて、サントシャペル、ピカソ美術館、オランジュリー美術館、ロダン美術館、アンヴァリッド、映画博物館など分野別に押さえておきたい場所も満載です。

パリ・ミュージアム・パスのメリットはふたつ。ひとつはチケット売り場に並ばなくてもいいということ。観光都市であるパリは、世界中から旅行客が押し寄せます。そのため夏や季節ごとのヨーロッパのバカンスシーズンには、有名スポットのチケット売り場は長蛇の列になることが、しばしばです。パリ・ミュージアム・パスを持っていれば、チケット購入の時間を短縮できるので、わずらわしい混雑をスキップして時間を有効に使えます。
ふたつ目は、定額のためスポットを多く訪れた場合にチケット代を節約できること。短期滞在中に多くの観光スポットを巡る旅行の場合、パリ・ミュージアム・パスの方が入場料の合計が安くなることがあります。特に2日券の場合は、1日およそ2〜3ヵ所を巡ると元が取れるようです。
例えば、2日券は52ユーロなので、1日分が26ユーロ。定番美術館の入場料を挙げると、ルーヴル美術館は17ユーロ、オルセー美術館が14ユーロ。この時点で2ヵ所合計で31ユーロです。大きな美術館巡りが続くと疲れてしまう場合は、もう少し小さな美術館と組み合わせてもよいでしょう。オランジュリー美術館の入館料は6.50ユーロ、ドラクロワ美術館は7ユーロです。1日連続して巡る場合は、やはり元が取れます。
パリ・ミュージアム・パスが使えるおもな観光スポット

■ルーヴル美術館
『モナ・リザ』『ミロのヴィーナス』『サモトラケのニケ』『ハンムラビ法典』などを所蔵する世界最大のコレクションを持つ美術館です。元は宮殿として使われていました。中庭に建つガラスのピラミッドはイオ・ミン・ペイによる設計です。
・URL: https://www.louvre.fr/

■オルセー美術館
印象派などを中心に、おもに1848〜1914年までの作品を展示しています。元は駅舎だった建物を美術館に転用しています。ルーヴル美術館(オルセー美術館より以前の作品)や国立近代美術館(オルセー美術館以降の作品)と合わせて巡ることで、美術史を一覧できます。
・URL: https://www.musee-orsay.fr/

■エトワール凱旋門
1805年に勃発したオステルリッツの戦いの戦勝記念としてナポレオンが建設を命じました。ナポレオンの死後、1936年に完成した。シャンゼリゼ大通りの西端であるエトワール広場に立つフランスのシンボル的建築物のひとつです。
・URL: http://www.paris-arc-de-triomphe.fr/
≫≫≫ エッフェル塔と並ぶパリのシンボル。凱旋門の観光ポイント

■ポンピドゥーセンター
ルーヴル美術館やオルセー美術館と並ぶパリ三大美術館のひとつである国立近代美術館が入る建物です。20世紀以降の美術品を所蔵しています。ほかには公共情報図書館などが入っています。建物はリチャード・ロジャーズとレンゾ・ピアノにより設計されました。
・URL: https://www.centrepompidou.fr/

■サント・シャペル
荘厳なステンドグラスに飾られた礼拝堂。パリ最古のステンドグラスや、「聖王」と呼ばれたルイ9世がコンスタンティノープルの皇帝から購入したキリストの聖遺物などを納めるために建てられました。
・URL: http://www.sainte-chapelle.fr/

■ヴェルサイユ宮殿
太陽王ルイ14世によって建てられた巨大で豪華な宮殿です。パリ郊外に建設され、その後のフランスの政治・文化・芸術の中心地となりました。主となる宮殿のほかに、広大な庭園と離宮から構成されています。
・URL: http://www.chateauversailles.fr/
≫≫≫ 一度は行ってみたい! 世界一豪華(!?)なヴェルサイユ宮殿の魅力

パリ・ミュージアム・パスの事前購入方法

パリ・ミュージアム・パスは2日券(48時間)52ユーロ、4日券(96時間)66ユーロ、6日券(144時間)78ユーロの3種類あります。事前購入はオンラインで手続きでき(パリ観光局が担当)、3通りの受け取り方があります。
ひとつ目がオンラインでオーダーしたパスをパリ市庁舎または、パリ北駅にあるパリ観光局案内所で受け取る方法です。手数料は無料です。
ふたつ目が自宅まで郵送してもらう方法。世界中に配送してくれますが、国と地域により送料(14.50ユーロ〜)がかかります。日本の場合は14.50ユーロの送料となり、4営業日で到着予定です。
3つ目が滞在先のパリ市内のホテルで受け取る方法。ホテルへの送料が12ユーロかかります。ホテル到着日時の24時間前までの申し込みが必要です。

パリ観光局を通して買う方法のほかに、パリ・ミュージアム・パスは日本国内でも販売されています。日本国内ではパリ観光株式会社などが担当。この会社では2日券7000円と4日券8900円のみを販売しています。現在の販売は日本国内への郵送のみで、パスの値段に加えて送料がかかります(2020年2月現在)。
パリ・ミュージアム・パスの現地購入場所

パリ・ミュージアム・パスは、パリ観光局案内所(パリ市庁舎とパリ北駅)とギャラリー・ラファイエット・パリ・オスマン店、シャルル・ド・ゴール空港、オルリー空港の各ツーリスト・インフォメーション・デスクで購入できます。窓口で購入する場合、送料などはかかりません。
そのほかには、劇場プレイガイド「キオスク・テアトル(マドレーヌ広場、モンパルナス駅前広場、テルヌ広場)」やルーヴル美術館に隣接した地下施設カルーゼル・デュ・ルーヴル内に入るキオスク、オルセー美術館前にあるキオスク(レジオン・ドヌール通り2番地)、凱旋門近くにあるキオスク(フリドラン通り44番地)でも売られています。

パリ郊外だとディズニーランド・リゾート・パリの最寄り駅、Gare de Marne-la-Vallée - Chessyのツーリスト・インフォメーション・デスクでも取り扱っています。
パリ・ミュージアム・パスの使用上の注意点

パリ・ミュージアム・パスの有効期間は、最初に入館した施設からカウントされます。休館日(月曜または火曜休みの施設が多い)、祝日(1月1日、5月1日、12月25日を休館とする施設が多い)、入場無料の日(施設によっては毎月第一日曜など)、ストライキに当たっても返金やパス使用後の有効期間の延長はできません。なお、以前は有効期限内であれば何度でも対象施設に入場可能でしたが、現在は各施設1回までに限られています。
パスは常設展のみ有効で、特別展やセミナーなどの特別企画には利用できません。有料オーディオガイドのレンタル料は、パスに含まれていません。

ルーヴル美術館は2019年8月より事前入場予約が必須になりました。パリ・ミュージアム・パスの所持者は、ルーヴル美術館に無料で入館できますが、別途無料の入場予約が必要です。予約はルーヴル美術館の公式サイトから行えます。
パリ・ミュージアム・パスを使ったおトクなモデルコース

以下がパリ・ミュージアム・パスを使ったおトクなモデルコースです(どの程度、おトクになるかは、上記「パリ・ミュージアム・パスとは」記事を参照)。
■モデルコース1
・09:00 ルーヴル美術館
・11:00 装飾芸術博物館
・12:00 昼食
・14:00 オランジュリー美術館
・16:00 シャンゼリゼ大通り散策
・17:00 凱旋門
■モデルコース2
・09:00 サント・シャペル
・10:00 コンシェルジュリー
・11:30 ドラクロワ美術館
・12:00 昼食
・13:30 オルセー美術館
・16:00 国立近代美術館
パリ・ミュージアム・パスを使っておトクにパリを楽しもう!

歴史的にもパリは多くの芸術家を魅了してきた町です。芸術への理解も深く、歴史的価値が高いさまざまなアートが身近に存在しています。パリ・ミュージアム・パスを使って、各時代の芸術家たちの息吹に触れてみましょう。
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