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【論風】新型コロナが1次産業に打撃 構造問題を再認識し再生ばねに - SankeiBiz

 2008年のねずみ年は、リーマンショックが発生し、世界経済が大混乱となった。それから一回りした今年20年には、新型コロナウイルスによる、コロナショックが発生した。いまだ予断を許さず、出口が見えない不安が、より一層危機感を増幅する。コロナショックは、国内の1次産業をはじめ産業界に、深刻なダメージを与えている。(ナチュラルアートCEO・鈴木誠)

 日本は諸外国と比して、1次産業の基盤が脆弱(ぜいじゃく)で、また中国との関係が深く、経済への悪影響はより深刻だ。東京五輪・パラリンピック開催にも、黄信号が灯っている。

 先日、昨年10~12月期の国内総生産(GDP)は年率換算でマイナス6.3%という、驚きの発表があった。すでに、国内景気はそこまで後退している。その後のコロナショック発生を踏まえると、今年の景気には、かなりの危機感を持たざるを得ない。

 深刻な農家への影響

 農水省によると、2月前半の中国産野菜輸入量は、前年同期比6割減となった。それなら国産に対する代替需要が増えて、国内1次産業にプラスだという意見もあるが、それほど単純ではない。そもそも、中国産輸入農作物は、スーパーの店頭に並ぶものはごくわずかで、主に加工用原料となる。加工用原料には、それ固有の設備や体制が必要で、簡単に国産に切り替えができない。

 また、外食産業をはじめ、国内個人消費が急速に冷え込んでおり、販売低迷も深刻化している。学校の休校による給食停止も、食品販売不振に拍車をかけている。消毒用アルコール不足は、酪農での搾乳作業を妨げ、ただでさえ牛乳出荷が滞っているのに、そこに学校給食停止で、酪農業界には一段の逆風となった。国内1次産業は相変わらず売り上げ不振と相場低迷が続いている。この3月末は、多くの企業が通期決算を発表するが、昨年度も歴史的業績不振であった業界が、今年はさらに厳しくなる見込みだ。

 食料安全保障は大丈夫か

 今回のコロナショックを契機に、日本が改めて考えるべきは、食料安全保障問題だ。このままでは、ただでさえ脆弱な国内食料安全保障基盤が底割れしかねない。食料の海外依存度が高すぎる日本は、当然に海外の動向に右往左往する。このような構造的問題を猛省しなければならない。政府には、場当たり的農業政策からただちに脱却し、長期的に食料安全保障を担保できる仕組みづくりを進めてもらいたい。

 政府は、18年度に37%であった食料自給率を、30年度に45%に引き上げる目標を掲げているようだが、これまで何度も繰り返してきた、農業政策の失敗という、同じ轍を踏まないよう、くれぐれも現実的な議論と施策をお願いしたい。

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March 19, 2020 at 08:03AM
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