マイホームの購入は人生の大切なイベントであり、夫婦や家庭にとって幸せへの大きな第一歩となります。しかし、家庭の事情によっては、親に報告するタイミングを迷ってしまう場合もあるでしょう。今回はマイホームの購入を親に相談する理由や、想定されるトラブル、住宅資金に関する親子間での贈与税の仕組みについて解説していきます。
家の購入を親に相談する主な理由
マイホームを購入するときには、事前に親へ相談を持ちかけるべきかどうかは、家庭の事情によって判断が異なるでしょう。ここでは、家の購入を親に相談する主な理由について見ていきます。
理由1:無用なトラブルを避けたい
家の購入をあらかじめ相談する理由としては、「親とのトラブルを避けたい」といったものがあげられます。マイホームの購入は、家庭にとって大きなイベントです。一度しか体験しない人も多いでしょう。
何の相談もなく夫婦の間だけで話を進めれば、家庭によってはあとから思いもよらないもめ事に発展してしまうケースもあるでしょう。親の顔を立てながら、納得してもらえた状態で購入をすすめたいというのが、相談を持ちかける主な理由となっているのです。
理由2:何らかの手助けを期待している
親に相談を持ちかける理由としては、「資金援助への期待」も一般的です。夫婦間だけでは資金のやりくりが難しそうなときには、事前に相談を持ちかけることで、頭金などの協力をお願いしやすくなる場合もあります。
また、親が近くに住んでいる場合には、「共働きのために子どもの面倒を見てほしい」といった手助けを期待するケースも少なくありません。事前に相談しておくことで、頼み事を聞いてもらいやすくなるのです。
親の経済状況や住んでいる場所などによって、相談すべきかどうかは判断が分かれるところです。気になる場合は、事前に話をしておいたほうが無難だといえるでしょう。
親との間で起こりやすいマイホームに関するトラブル
せっかく念願のマイホームを購入するなら、親にも気持ち良く応援してもらいながら新生活をスタートさせたいものです。無用な衝突を避けるためにも、マイホームに関して起こりやすいトラブルについて事前に理解しておきましょう。
親と子どもの意見の違い
親の立場からすると、「家の購入で子どもに失敗してほしくない」「頭金や貯金もないのに住宅ローンを組むのは危ない」「老後の生活もあるし近くに住んでもらいたい」などの思いがあります。金銭面での負担を心配したり、先の見通しを立てているのかが気になったりと、身近な存在だからこそ生まれる不安もあるのです。
ただ、親の都合や心配ばかりを気にしていても、マイホームの購入はなかなか進みません。そのため、親が気になってしまいそうなポイントに目を向けたうえで、うまく折り合いをつけられる部分があるか考えてみることが大切です。
ていねいに話し合いを進めたうえで、最終的には自分やパートナーの意思を尊重して決めるほうがよいでしょう。
資金援助をしてもらえるなら税制上の優遇措置がある
もし親から資金援助をしてもらえるなら、住宅の購入に関してはやはり金銭的に有利になります。頭金を増やすことができたり、住宅ローンの借入金を減らせたりすることで、負担も軽減できるのです。
ここでは、親から資金の贈与を受ける場合における、税制上の優遇措置について詳しく見ていきましょう。
親から住宅資金を受け取ったときの非課税制度
通常は、親子間であっても、現金などをもらった場合には贈与税がかかりますが、1年間にもらった財産の合計額が110万円以下なら贈与税はかかりません。
出典:「贈与税がかかる場合」(国税庁)
さらに、居住用の住宅を新築したり取得したりするための資金であれば、一定の要件を満たすことで贈与税が非課税となるのです。
非課税となる対象の限度額は条件によっても異なるものの、最大で3,000万円までの金額が非課税となります。これから契約をする人は、2021年3月31日までは1,500万円、2021年12月31日までは1,200万円までが非課税の上限です。
物件が消費税10%の場合の非課税枠
住宅用家屋の新築等に係る契約の締結日 |
省エネ等住宅 |
左記以外の住宅 |
---|---|---|
2019年4月1日~2020年3月31日 |
3,000万円 |
2,500万円 |
2020年4月1日~2021年3月31日 |
1,500万円 |
1,000万円 |
2021年4月1日~2021年12月31日 |
1,200万円 |
700万円 |
※出典:「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」(国税庁)
ただ、適用を受けるためには「贈与を受ける人(受贈者)が20歳以上」「贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下」などの受贈者に関する8つの要件をすべて満たす必要があります。
また、取得する家の条件に関しても面積などの細かな要件があるため、実際の状況に合わせて細かく確認しておきましょう。
二世帯住宅にすることで受けられる優遇措置もある
二世帯住宅であれば、不動産取得税や土地・建物の固定資産税の軽減措置も受けることができます。通常は一戸分として計算される税金が二戸分として扱われるため、大幅な軽減が可能になるのです。
ただ、二世帯住宅として認められるためには、構造上のさまざまな条件があります。「専用の玄関やキッチン・バスルームがある」「ドアや壁できちんと遮断されている」といった要件を満たす必要があるため、新築をする場合には事前に調べておくと良いでしょう。
親とのトラブルを避けて念願のマイホームを手に入れよう
まとめると、この記事のポイントとなります。
- マイホームの購入を親に相談する理由としてはトラブルの予防や援助の期待があげられる
- 親の立場からすれば、金銭的な失敗や実家との距離感などが気になりやすい
- 親の意見とすり合わせつつ、夫婦の意思を尊重することが大切
- 1年間にもらった財産の合計額が110万円以下なら贈与税はかからない
- さらに親からの住宅資金贈与は、要件を満たせば最大で3,000万円までが非課税となる
- 二世帯住宅にはさまざまな税金の軽減措置がある
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August 10, 2020 at 10:00PM
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