
ショッピングは「体験」だ、という考えが普及しているなか、ファッション、リテール業界関係者たちは何が「購入」の障害となっているのか、にフォーカスを当てている。
先日、ニューヨークのジャヴィッツ・センター(Javits Center)で年に1度のカンファレンス、全国リテール・コンベンション(the National Retail Convention)によるビッグショー(Big Show)が開催された。そこでは多くのエグゼクティブたちがショッピング体験における「摩擦」について語った。実店舗におけるレジの列、在庫不足、そして同日配達よりも長くかかる場合の配達時間、といった具合だ。余分なステップを取り除くことで、リテール業界のプレイヤーたちは顧客からのロイヤルティを獲得することが狙いだ。スピードとシンプルさを名刺代わりに使ってきたAmazonだが、彼らがそれによって成功していることは証明されたと言える。
閲覧・判断プロセスを排除
スティッチ・フィックス(Stitch Fix)はショッピングから閲覧・判断というプロセスを排除することで10億ドル(約1100億円)のビジネスを築き上げた。2011年のローンチ以来、彼らのビジネスモデルの中心にあるのは個々のユーザーに合わせた衣服詰め合わせを宅配することだ。サービスに加入する時に受ける質問回答と、毎回の宅配に対するフィードバックからのデータをもとにスタイルが選ばれる。スティッチ・フィックスのプレジデントでありCOOのマイク・スミス氏によると、彼らは現在125人のデータサイエンティスト、5000人のスタイリストを雇っており、顧客のスタイルが適切であるよう取り組んでいるという。
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彼らに運ばれる詰め合わせは「フィックス」と呼ばれるが、2019年夏からはスティッチ・フィックスは新しい機能を追加している。これらの機能を通して、ユーザーたちは従来のフィックスに含まれているスタイルやカラーとは違ったものをよりアクティブに選ベるようになった。ショップ・ユア・ルックス(Shop Your Looks)やショップ・ニュー・カラーズ(Shop New Colors)がその新機能だ。
「フィックスのモデルが100%中心に据えているのはメンバーたちに発見を届けることだ。そしていま、彼らは選択することができる」と、スミス氏は言う。
eコーマスの煩雑作業を排除
複数のオプションがあることで、プロセスは複雑になる。それはマーケティングも同様だと、AIスタートアップのネイト(Nate)のCEO兼ファウンダーを務めるアルバート・サニガー氏は言う。
ネイトにおけるサニガー氏の狙いはオンラインの購買体験の面倒臭さを取り除くことにある。インスタグラムチェックアウト(Instagram Checkout)のような容易さでもって、どのようなウェブサイトやプラットフォームでもシンプルに購入ができるようにしようとしている。顧客の情報をネイトが保管し、どのリテーラーでも購買プロセスをネイトが処理してしまう。配送先といった入力が必要な欄をネイトが埋めてくれる。
「Z世代がオンラインで何かを買うときに、どんな物でも3秒以下で購入できる手伝いをする」と、彼はネイトを説明した。スタートアップとしては現在、ステルス・モードで運営されている。「エンゲージメントを生み出すには大きな労力がかかる。マーケターたちは常に顧客に、何かを買うように説得しようとしており、いらないと思った顧客に対してもさらに説得しようとしている。しかし人間の脳は、本人が気づく前から何かを購入しようと判断している。そこから1秒でも時間が経つごとに、顧客は合理的に考えようとして、しばしば商品は必要ないと、結論を下す。人々へ執拗にプロダクトの良さを押し付けることにお金を使うのではなく、購買プロセスの処理をとにかく短くすることにフォーカスを当てるべきだ」。
正しい種類の摩擦を挟み込む
リテール・プラットフォームのニューストア(NewStore)最高マーケティング責任者であるフィル・グラノフ氏は、ブランドが成功するためには、購買プロセスへ適切にステップを挟み込む必要があると考えている。
「Amazonの観点は、(あらゆるものが自動販売機なので)購買プロセスをなるべく迅速にすること、というものだ。しかしリテールにおいて重要なのは、正しい種類の摩擦を挟み込んでいくことにある。この世界で素晴らしいものはどんなものでも、一定の摩擦を持っている。それがあるから人々はついて来るのだ。摩擦がない体験では、ただ人々は入って出ていくだけだろう」と彼は語った。
グラノフ氏によると、エンゲージメントの機会こそがブランドを定義付けるという。店員と素晴らしい関係性を持った消費者、視覚的に魅力があるウィンドウ・ディスプレイのデザインを生み出すリテーラーを例として挙げた。
テックでリテール体験を再構築
全国リテール・コンベンションでは、イノベーション・ラブ(the Innovation Lab)と名付けられたセクションがあり、新規テクノロジーを使ってリテール体験を再構築しようとしている企業たちが紹介されていた。そこでは顧客の購買体験をスムーズにすることがトレンドとなっていた。
そのひとつが実店舗に置かれたプロダクトと繋がるタグを使って、セルフサービスやセルフチェックアウトを可能にするラピタグ(Rapitag)だ。スマートフォンを使ってタグをスキャンするとプロダクト情報が提出され、顧客の端末の信号を使って支払いを行うという仕組みだ。オンライン購入、実店舗ピックアップのプロセスをスピードアップさせるトラッキング技術に活用されるポジションイメージング(Position Imaging)も展示された。スマートフォンを使って、棚にあるプロダクトを指定する。あとはその商品を取り上げて出ていくだけだ。居住ビルディング、ホテル、大学のキャンパスに設置することでリテール展開を可能にするスマート自動販売機、ストックウェル(Stockwell)もあった。ロケーションに存在する人々へ細かく合わせて電子機器、掃除用品、パーソナルケア用品と、その内容を変えることができ、アプリを使った自動チェックアウトができる。
しかし、チェックアウトに関する障害の多くは、アプリやガジェットひとつで解決できないものも多い。国際マーケットに参入するブランドたちは、それをよく理解している。
中国への参入には全力で
Tモール(天猫)のファッション・ラグジュアリー部門における責任者であるクリスティーナ・フォンタナ氏は、「中国は摩擦がたくさんある」と語る。「中国に参入するためにはブランドは強く、よく考えられた戦略を持っている必要がある。中国市場はまったく簡単ではない。自分たち側でやるべきリサーチと戦略固めができてなければ、少し待つことを勧める。中国市場はブランドがテストを行う場所ではない。参入するのであれば、本格的に全力で参加する必要がある」。
オールバーズ(Allbirds)は、中国に参入するにあたり20人編成のチームを構築した。彼らは市場消費者リサーチを行い、ローンチに先駆けてアリババ(阿里巴巴)用のコンテンツをたくさん開発した。現在、4つのストアを所持しており、今後増える予定だ。
オールバーズの国際部門プレジデントであるエリック・ハスケル氏は、地元の消費者とエンゲージメントを持ち、獲得するためにはコンテンツが重要だったと語る。
「ほかのブランドたちは、国境からプロダクトを投げ入れて、消費者に情報を伝え、ブランドについて教えることをしない。我々にとってマーケティング投資は『これは長期的に取り組む項目だ』と自覚的に下した決定だった」。
Jill Manoff(原文 / 訳:塚本 紺)
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January 27, 2020 at 06:50AM
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